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第1回創作絵本コンクール

最終審査 審査講評

8月29日、第1回創作絵本コンクールは、第一次審査合格者再提出の完全ダミー及び原画5点を審査対象に、最終審査会が行われました。結果、審査委員総員は以下の2作品を授賞作品に選出いたしました。

・[大 賞] 『よっ おとこまえ!!』 いがらしあつし 作/絵
・[優秀賞] 『おいしい おいしい じゅもんはなあに ぱっぷん ぱっぷん パンケーキ!』 タカタ カヲリ 作/絵

【講 評】
最終審査にあたって、9月22日から29日まで審査会に先行して対象10作品の手製本による完全彩色ダミー及び原画5点の展示会を実施。審査委員各委員は当該期間に各委員独自に事前審査を行いました。

各委員は5項目[作品の全体性/主題/題材/絵画/テキスト(文)]の評価視点から「作品審査票」を作成し最終審査会の合評審査に参考データとして供することといたしました。
完全彩色ダミーに仕上げられて提出された対象作品は一次審査通過時からじわりと変容して造形構成の手直しや個性的な彩色表現が強調されて完成度を数段に高めていました。

一方で、ていねいに描きこんだために逆にパワーが削がれて魅力が減じた作品や主題を担う主人公がにぎやかな絵画展開の中で埋没ぎみになった作品、作品イメージがすっかり変わった作品もありました。また、総じてテキストに推敲をかさねたあとが見られなかったのは残念でした。
絵と文が調和し、えもいわれぬ関わりを感じとれる作品。絵本が奏でるゆたかなメロディや心はずむリズムへの配意や工夫は今後の努力に期待したいと思います。

大賞作品選考では、唯1点を選出するという重責から個性ゆたかな作家や編集者で構成される審査委員会委員各位の意見は相応に分かれました。そこで、各委員が推薦作品2点をそれぞれ提出して推薦数上位5点を候補作に選出いたしました。そして、これら作品5点から大賞作品の選考を図りました。
最終選考では、ダミー作品の完成度や安定度で選ぶか、やや粗削りでも斬新な主題や切り口の面白さを持つ作品を採用するかが評価論議の中心となりました。結果、総意が後者に収斂していくなかで審査は厳かに進められ、いがらしあつし作『よっ おとこまえ』を大賞授与作品に決定しました。

大賞作品『よっ おとこまえ』は、いくつかの難点が指摘されましたが、トウモロコシ3人組をキャラクターに登場させて、みんなにおいしく食べてもらうことを「おとこまえになる」こととし、三人三様で調理法を工夫するという主題の奇抜さ・面白さが高評で、大胆な絵画展開も評価されました。作品が、作者の粗削りな創造への魅力を含みこみ将来を期待させる結果を生み出して全員一致の大賞選出となりました。
また、優秀賞にタカタ カヲリ作『おいしい おいしい じゅもんは なあに ぱっぷん ぱっぷん パンケーキ!』を選出しました。作品づくりに作者の創作経験を感じとれる佳作で、物語が調子よく展開する楽しい作品ですが、やや小話が重なりすぎてイラスト展開が煩雑にながれたのが残念でした。力量確かな作者で今後の作品に注目して参ります。

「絵本塾カレッジ創作絵本コンクール」は今回が第1回の開催であり、開催告知の広報が十全ではありませんでしたが予測を超える作品応募をいただきました。絵本作家を志す人びとのすそ野の広さを強く知らされたしだいです。
コンクールの開催にあたり応募くださった方々、作品審査にあたりご協力頂いた関係各位のみなさまに厚く御礼申し上げる次第です。

審査委員長 飫肥 糺

2018年10月3日